ボリス・ジョンソン氏の乱入で「同じ間違い」をまた繰り返しそうなイギリスの次期首相選び

イギリスで興味深い政治ショーが続いている。お騒がせ男のボリス・ジョンソン前首相が表舞台に再登場し「また首相になるのでは」などと言われているようだ。「今回は党員投票はない」と思っていたのだが、候補者が複数出た場合最終的にはオンラインによる投票が行われるという。世論調査では党員の間ではジョンソン氏の人気の方が高いため保守党はまた同じ間違いを繰り返すのかもしれない。

結局、ジョンソン氏は出馬を断念し「同じ間違い」は繰り返されずに済んだようだ。各局が速報で伝え始めている。

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イタリアで「極右」メローニ政権が誕生するも市場は先行きをやや不安視線

イタリアでドラギ政権が崩壊したのは7月21日だった。総選挙は9月25日に行われメローニ党首率いる「イタリアの同胞」が勝利した。それから一ヶ月弱をかけてようやく大統領から組閣の依頼が行われた。既に選挙で枠組みが決まっているためイタリアの同胞・同盟・フォルツァイタリアの連立政権ができる見込みである。組閣名簿は既に大統領に提出済みだそうだ。宣誓式が22日に行われ正式に内閣が発足する。

イギリスでトラス首相が引き起こした混乱を見たばかりなので「イタリアでも混乱があるのではないか」と戦々恐々としている人も少なくないかもしれない。ただし、ドラギ首相の退任が決まってから金融市場は既に動揺していたため今のところ新しい混乱は起きていない。日経新聞は「市場は不安視している人もいる」との表現にとどめている。ただし政権内にはNATOをめぐる意見の違いもあるようで万事安泰とはまではいかないようだ。

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ブレイバーマン内務大臣の辞任がダメ押しになりついにトラス政権が崩壊

ついにトラス政権が崩壊した。辞任表明までの期間は45日で「最短」とされるそうだ。31日に中期財政計画が発表されることになっており取りまとめをやっているハント財務大臣は党首選には立候補しない予定だ。

現在、スナク氏、モーダント氏が後任候補とされているが、ジョンソン前首相も立候補に前向きな姿勢だ。ハント財務大臣の取りまとめで金融市場は一定の落ち着きを取り戻しているが、政治的には不安定な状態が続いている。次の首相とハント氏のの相性はまだわからないからである。次の首相は28日までに選出される。つまり今回は保守党員による選挙は行われない。

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ドイツが脱原発政策を転換 ー リベラルな緑の党には逆風

ドイツのショルツ首相が国内に残る原発3基の稼働時期延期を決めた。とりあえずの延長期限は4月15日になっており「当座冬を乗り切るため」の苦渋の選択だ。だがこれでも「年内で原発を停止する」と決めていたため大転換と見られている。

閣内には脱原発で党勢を拡大したリベラルな緑の党がいる。緑の党はあくまでも「暫定的な措置である」と強調しているが、エネルギーの調達先が見つからなければ今後も同じような状態が続くことが考えられる。

脱原発・環境推進派の緑の党が今後もドイツで存続できるかという意味では正念場と言えるのかもしれない。

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トラス首相がクワーテング財務大臣を更迭し法人税減税案を撤回

イギリスで大きな動きがあった。トラス首相がクワーテング財務大臣を更迭し法人税減税案を撤回した。財務大臣を更迭し経済混乱の責任を取らせた形だが、当然メディアはトラス首相は辞任しないのかと追求している。保守党内からも交代論が出ているそうだ。トラス政権ができてからまだ1ヶ月しか経っていない。

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なにものかがドイツ北部の鉄道に破壊工作をしかける

ドイツの土曜日の朝は大混乱だった。なんらかの技術的理由で鉄道が止まり午前11時まで解消されなかった。時事通信はドイツ北部で鉄道網が一時まひ 「破壊工作」原因か、当局捜査と伝えている。

破壊工作とは穏やかではない。時期が時期だけに「敵対している外国が関与しているのではないか」などと思いたくなる。大方の見方は「怠業」のようだがやはり「何者かがドイツのインフラを破壊しようとしているのではないか」という疑いも消えていないようだ。

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オランダのルッテ首相に政治スキャンダル。原因はノキアのガラケー。

オランダのルッテ首相はもう13年間もオランダの首相を務めている。これまでスキャンダルに見舞われたことがなく「テフロン(加工)の首相」などと呼ばれているそうだ。そんなルッテ首相が珍しくスキャンダルにみまわれた。原因はノキアのガラケーである。テキストメッセージを保存する容量が少なく文書を削除していたがこれが「公文書保管義務」に違反するというのだ。オランダではノキアゲートなどと呼ばれていた。

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イタリアで極右政党が躍進、初の女性首相誕生へ

イタリアで極右政党イタリアの同胞(FDI)が躍進した。メローニ氏が新しい首相に任命されることになりそうだ。今回は既にさまざまな分析が出ているがこの記事で強調したい点は2つある。

  • イタリア国民の国政への関心は薄れている
  • 今回は左派が選挙対策に失敗した側面があり必ずしも右派が勝利したとは言えない

つまり、FDIの台頭の結果、国民全体の支持がない中道右派政権が誕生する可能性が高い。だがいずれにせよイタリアの政治状況はヨーロッパの足並みを乱すのみならず対ロシア政策を通じて西側諸国の結束に大きなダメージを与える可能性が出てきた。さらに「お騒がせ発言」で知られるベルルスコーニ氏が政界の中枢に戻ってくる。

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今度は「トラス・ショック」でイギリスポンド安

今週は投資家にとって忙しい一週間だった。まずFOMCで利上げが発表された。直後は株価も円相場も動かなかった。次に日本国債の取引が成立しなくなり、さらに日銀が金融政策を据え置いたことで円安傾向が出た。これを防衛するため財務省が24年ぶりの為替介入を行った。実弾は限られている上アメリカの支援は得られないことから「いつまで戦線が持つのか」という状態になっている。またFOMCの結果が投資家に伝わるにつれてニューヨークの株価も落ちている。

ただ連休に入ったため「もうこれで今週はひと段落だろう」と思った。Twitterでは「イギリスが怪しい」という声が出始めていたが「それはまた来週まとめて研究しよう」と思ったのだが、ポンドが下落したそうだ。日経新聞も「下落」を伝えている。

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日本のリベラルが引き合いに出すことが多いスウェーデンで今起きていること

日本のリベラルは北欧を理想形として引き合いに出すことが多い。だがそのスウェーデンでこのたび左派が政権を手放すことになった。民意を反映した上での熟議と話し合いの結果なのだが「民主主義は手間がかかる」という印象である。

比例代表制のため選挙結果が必ずしも首班指名に反映されないという分かりにくさがある。今回は第三党が政権樹立を目指すことになり、第一党は構想からいったん除外される。

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