アメリカ合衆国が積極介入姿勢 総工費約2兆円のジェラルド・R・フォードがイスラエル沖に急行

第三次世界大戦が始まるとしたらこのように展開するのだろうなと思わせる事態が東地中海で展開している。背景にあるのが政治の不安定化だ。その不安定を突いて小さな衝突が起こる。リアクションは大袈裟なものになり過大なリソースが分配され地域の情勢が必要以上に緊張する。すると別の場所に空白が生まれ別の衝突が起こるという具合だ。いったん道筋ができてしまうと連鎖反応的に不安定さが増してゆく。そんな世界である。仮に世界が戦争状態に突入するとしてもそのきっかけはほんの些細なものなのかもしれない。

ただ国際世論には揺り戻しも起きている。ヨーロッパの多様な意見が一方的なエスカレーションを妨げている。ジェラルド・R・フォード打撃群を送り込んだアメリカ合衆国も「米軍をイスラエルに派遣することはない」と宣言した。あくまでも空母は「お守り」として東地中海に鎮座している。

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「イスラエル版の9.11」の評価も ハマスの奇襲に世界が揺れる

イスラエルの祝祭日を狙ったハマスの奇襲攻撃が国際社会に大きな波紋を広げている。おそらくイスラエルの内政は混乱し、中東は不安定化し、イスラエルとサウジアラビアの間の和平交渉も実現が難しくなる。アメリカではこれをバイデン政権の失態として印象付けようという政局的な動きも出ている。日本は中東に石油を依存しているため中東の不安定化は物価などに直接の影響を与えるのだが、アメリカ大統領選挙への影響も我が国の安全保障にも少なからぬ影響を与えるだろう。

なお今回引用した記事の中にはかなり凄惨な現場の写真なども含まれている。残酷な映像を見たくないという人はリンク先には飛ばないほうがいい。YouTubeでは盛んに奇襲されたイスラエルの街の様子や報復空爆の様子が報道されている。日本では今の所あまり扱いが大きくないニュースなのでその落差に驚くかもしれない。

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ガザ地区のハマスがイスラエルに奇襲総攻撃 背後にちらつくイランの影

イスラエルにハマスからの総攻撃があった。最新の報道によると双方の死者数は数百人単位に及んでいる。ガザ地区からのミサイル攻撃だけでなくイスラエル国内にも奇襲攻撃があったようだが、イスラエル当局は事前に察知できなかった。国連と西側はハマスのテロを非難しているがイランは支持を表明している。イスラエルはサウジアラビアとの関係修復を進めておりイランにはそれを妨害する動機があるなどと指摘するメディアもあり状況は複雑だ。

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おそらく完成することのないパズル「中東」 バイデン大統領とネタニヤフ首相がホワイトハウスの外で会談

国連総会が開かれているニューヨークでバイデン大統領とネタニヤフ首相が会談した。アメリカ合衆国とイスラエルは緊密な関係にあるため会談して当たり前なのだが今回は事情が違っていた。事前の報道ではホワイトハウス訪問の予定はないとされていた。報道通りホワイトハウスでの会談はなかった。だが全く会わないといわけにもいかなかったようだ。

アメリカにとって中東和平がいかに厄介なパズルなのかということがわかるがバイデン大統領が二期目を決めるためにはどうしても完成させたいパズルである。

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イスラエルのネタニヤフ首相が「バイデン大統領と会わない」ことがニュースに

ネタニヤフ首相が国連総会に合わせてアメリカを訪問する。ユダヤ系の支持が欲しいバイデン大統領なら当然ネタニヤフ首相を歓迎するであろうと思うのだが「会わない」ことがニュースになっている。イスラエルの司法改革が背景にある。イスラエルの司法改革は「国家分断」という最悪の状況も視野に進展している。最悪の状況とは司法と行政・立法が完全に対立しイスラエルが国家として分断されてしまうと言う状況である。こうなると市民、軍、警察などはどちらにつくかを決めなければならなくなるだろうとの指摘もある。

バイデン大統領はこの状況を扱いかねているようだ。これまで甘やかしてきたイスラエル情勢がいよいよコントロール不能な領域に突入しつつあるのだ。

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イスラエルのテック企業は国外退去を検討している

イスラエルの主な輸出産業はIT産業である。そのIT産業が国に残ってネタニヤフ首相と戦うか逃げ出すかという選択を迫られているそうだ。特にスタートアップはかなり動揺しているという。思わぬ批判にさらされたネタニヤフ首相はBloombergのインタビューに答えてみんなが困るような司法改革はやらないと説明している。だがこのインタビューを追加報道するところはなかったようだ。「その場凌ぎの言い訳だ」とみすかされているのかもしれない。オープンな社会は国に豊かさをもたらすということがよくわかる。日本人もここから何かを学ぶべきである。

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イスラエルがとんでもない司法改革を強行 ネタニヤフ首相には健康不安も

イスラエルのネタニヤフ政権がとんでもない司法改革を強行した。英米系のメディアでは騒ぎになっているのだがYahoo!ニュースなどではあまり注目されていない。ユダヤ系のほとんどいない日本では「関係がない」と思う人が多いのだろう。

背景事情はかなり独特だ。寄せ集め国家のイスラエルには憲法がなくアメリカの軍事支援によって成り立っている。憲法のないイスラエルでは最高裁判所が最後の砦となり民主主義を守ってきた。今回はこのブレーキがなくなる可能性がある。

前首相は最高裁判所に提訴すると言っており混乱は長引きそうだ。ネタニヤフ首相はペースメーカーを埋め込む手術の後すぐに復帰し法案を成立させた。今回混乱前提で改革を強行した裏にはネタニヤフ氏の健康不安という事情もあるのかもしれない。

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トルコのエルドアン大統領が大統領選挙に勝利宣言

トルコのエルドアン大統領が勝利宣言を行ったと複数のメディアが伝えている。トルコはNATOの枠内にありながらEUの外にある。この特異なポジションのため、エルドアン大統領はたびたび「親ロシア的」な発言で欧米を振り回してきた。外交政策上、ヨーロッパは親欧米派と見られるクルチダルオール氏が政権を取ることが期待していたはずだが、結果は欧米の期待通りにはならなかったようだ。キーになったのは少数民族クルド人に対する扱いだった。

なおこのエントリーは進行中の出来事について扱っているため場合によっては事後更新を行う場合がある。特に野党のクルチダルオール氏が結果を受け入れるのかがまだ伝わっていない。

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トルコでエルドアン大統領が大敗しなかった理由

先日は少し生煮えで終わってしまったのだが、結局トルコでは二週間後に大統領選挙の決選投票が行われることが決まったようだ。経済不調や地震対策の杜撰さなど様々な要因があったもののエルドアン大統領が大敗しなかった。その理由を時事通信が書いている。さらに議会ではAKPなどが過半数を維持する見込みだ。つまり、大統領が親NATO派のクルチダルオール氏に変わっても外交的な立ち位置はそれほど急には変わらないかもしれない。

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得票率50%を割り込みトルコの大統領選挙は決選投票へ

トルコで大統領選挙が行われている。メディア統制が強まり野党には圧倒的不利であるとされていたのだが、アルジャジーラの速報では90%以上が開いた時点でエルドアン氏の得票が50%を下回る展開となっている。両陣営共に「寝ないで投票箱を監視する」などとしているが決選投票に持ち込まれる可能性が高くなった。

NATOの一員でありながらスウェーデンのNATO入りを妨害しまた親ロシア的な側面も見せているエルドアン大統領がこのまま大統領職に留まるのか、あるいは親欧米派とも呼ばれるクルチダルオール氏が勝利するのかに注目が集まっている。

その後情報が更新され「与党側が開票結果を受け入れず本日中は結果が公表できない」ということになったようだ。日経新聞が伝えている。決選投票になれば状況が混乱されることも予想されている。

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