なんとも不思議なオランダのルッテ政権崩壊。争点は優しすぎる移民政策の是非。

またしてもオランダのルッテ連立内閣が崩壊した。11月に総選挙が行われる。崩壊の理由は移民政策だった。現実的な対応を求めるルッテ氏とお花畑的な左派の間で折り合いがつかなかった。

オランダの政治事情は極めて不思議だ。特に争点らしき争点がなく「移民にどの程度優しくしてあげるのか」が唯一の争点になっている。それをめぐって同じような議論が延々と展開され「やっぱり折り合いませんでしたね」として総選挙になる。当人たちにはそれなりの切迫感があるのだろうが、経済的に余裕のある国ならではののんびりとした政治といえるのかもしれない。

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フランスで警察官の少年殺害が暴動に発展 その複雑な事情

パリ郊外の警察官が交通検問を無視した少年(ナエル・M)を殺害した。この時点では「ああまたか」と思った。アメリカではこの手の事件が頻発しているためなんとなく慣れてしまっている。しかしあれよあれよという間に暴動へと発展しフランス全土に広がっていった。外国のメディアは「背景にあるのは深刻な人種差別問題」だと断定する。だがフランス国内のメディアを見るとその原因はかなり複雑なようだ。フランスは問題を扱いかねているように思える。

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ギリシャでNDが政権を維持 経済に弱い左派は「政府批判ばかり」として支持を失う

ギリシャで再選挙が行われND(ニューデモクラシー)が大勝した。直前に移民を大勢乗せた船が転覆していたがギリシャ国民はこの事件にさほど関心を寄せなかったようだ。SYRIZAのチプラス氏は焦りを募らせ政権攻撃に転じたがこれが返って「消極的である」とみなされたようだ。自民党や政権批判ばかりが目立ち「建設的な提案がない」という批判のある日本の立憲民主党にどこか似ている。ギリシャと日本が似ているのかそもそも左派というものがそういうものなのかはわからないのだが、とにかく共通点が多い。

今回はアルジャジーラの記事をもとに構成した。

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スコットランド国民党は独立運動のた目に集めたお金をどうしようとしているのか?

スコットランド行政府のスタージョン元首相が一時拘束された。疑惑はSNPが集めた資金に関するものだったが一時釈放されたことから逮捕のために十分な証拠を集めることができなかったものと思われる。特定の政党が急進力を高めるために政治的にほぼ不可能なアジェンダを設定し、その裏で腐敗してゆくというのはよくある話のように思える。だが報道を見ても「可能性」に関する言及が一切見られない。実はスコットランドではこの手の発言がかなり厳しく規制されているようである。

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ボリス・ジョンソン英国元首相が押される前に自ら崖を飛び降りる

ボリス・ジョンソン元首相が議員辞職した。ロックダウン破りのパーティーの後の「言い訳」が虚偽答弁であったと問題視された。ただこれが直ちに議員資格の停止に結びつくことはないはずだった。このためジョンソン氏は「押される前に飛び降りた」などと言われている。元首相は最後のステートメントでも「私を追い出そうとしており結論ありきの調査だった」と調査委員会を非難している。

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マクロン大統領はなぜNATO東京オフィス開設を「妨害」するのか?

マクロン大統領がNATOの東京オフィス開設に反対している。Financial Timesが伝え各紙が引用報道している。「中国との関係悪化を恐れているのだろう」とする観測が多い。フランスは国内に経済問題を抱えているため「中国との経済連携を強めたい」というのだ。だがこれはフランスとNATOの関係を知らないからこその誤解に過ぎないのではないかと思える。そもそもフランスとアメリカのNATOに対する姿勢は違っており、これが理解できないとフランスの提案は単に理不尽なわがままにしか聞こえないだろう。

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ギリシャで「ボーナスの50議席」を期待したやり直し総選挙が行われる背景

ギリシャで総選挙が行われた。1回目の投票で右派与党が躍進したが過半数を獲得できなかった。右派与党は連立政権を組むという選択肢があったがこれを選ばず再選挙を行うことになっている。選挙結果は6月25日に出る予定だ。今回の選挙は比例代表の得票通りに票が分配されるのだがやり直しを選択すると「勝った政党が50議席もらえる」というボーナス制度が復活する。ゲームで言えば「チート」のような気がするのだが、ギリシャではこれが合法なのである。

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2件の銃乱射事件を受けセルビア大統領が「刀狩」を提案

セルビアで2件の銃乱射事件が起きた。ユーゴスラビア紛争を経験しているセルビアにはまだ多数の銃が残っているという。大統領はほぼ完全な武装解除を行うと宣言した。現代版の刀狩である。歴史を調べるとセルビアには「国民皆兵」の伝統があるそうだ。武装解除がすんなり行くのかあるいは抵抗を受けるのかについては今のところ何の報道もない。

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チャールズ3世の戴冠式は多様性推進を打ち出すも人々の目はやや冷ややか。日本では「生解説スペシャル」も。

エリザベス2世女王が亡くなりチャールズ3世が新しい連合王国(イギリス)の国王になった。5月6日に戴冠式が行われ正式に即位する。今回の特徴は簡素化と多様性の推進である。一部には強固な反対派がいるようだが、むしろ無関心な人が増えているという。若い世代ほど「興味がない」という人が増えているそうだ。ただ今回の儀式にはおとぎ話のような小道具がふんだんに使われることになっている。日本では儀式そのものに関心を持つ人が多いのかもしれない。NHKがニュースで扱うほか、池上彰氏の「生解説スペシャル」を放送する局もある。

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BBCシャープ理事長がジョンソン元首相との関係を疑われて辞任

BBCのリチャード・シャープ理事長がジョンソン元首相への融資仲介疑惑で辞任した。時事通信によればシャープ氏はゴールドマン・サックス出身でジョンソン元首相の融資に保証人を手配したという疑惑を持たれている。BBCには経営方針を決める理事会と放送業務を担当する執行委員会がある。階級社会のイギリスでは「BBCが中立であるかどうか」は国民の関心事で度々大きなニュースになる。BBCニュースは総括報道で「BBCはBBC理事長を選ぶことはできない」としつつ人選に疑問を投げかけている。放送局の中立性は日本でも話題になった。政治と国民がNHKをどう扱うべきかの参考にもなりそうな事例だ。

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