松浦勝人さんの金持ち自慢

松浦勝人さんという人がYouTubeを始めた。貸レコード屋さんから輸入業に転じ有名アーティストのプロデュースなどを手がけたという華麗な経歴がある一方で近年の営業利益が落ち込んでいる。コロナの影響でイベント事業が不振となり本社を売却することで凌いだのだという。

将来に不安を感じるくらいなら新しいことをしてお金を稼いだ方がいいということなのかもしれない。不安を解消するために自ら動くというのは立派なことである。ただそのYouTubeの内容は主に松浦さんの金持ち自慢である。チャンネルが出るたびに消していたのだがどういうわけか次々に出てくる。そこで見だしたところこれが意外と面白かった。

お金持ちで「数千万円のブランド品を一時間もしないうちに買ってゆく」というようなあまり上品とはいえないコンテンツがたくさん出ている。おそらくこれがこれまでも日常だったのだろう。だが実際に自分で見ると文春が伝えるような嫌味さはない。この辺りは松浦さんの人柄なのだろう。




自慢なのだがあまり幸せそうに見えない

嫌味にならない第一のポイントはあまり幸せそうに見えないという点にある。ブランド品をあまり吟味せずに買ってゆくのだが全身をコーディネートしておしゃれに見せるようなことはない。

仮にイケメンでコーディネートもうまく洋服にうんちくをかたむけるような人だったら「羨ましいなあ」などと考えると思う。だが着ている様子を見る限りでは一昔前の中国人観光客のような感じである。

一回着たら人にあげてしまうそうで「コレクションしたい」という執着もなさそうだ。

美容にも凝っていてかなり高いお肌のメンテナンスを行っているという。これも効果が出ているようならば羨ましいと感じるのだろう。あまり照明にも凝っていない自宅スタジオでの映像は「なんとなく疲れているな」という印象である。

つまり、このレベルのお金持ちになるともはや「他人に格好良く見られよう」という欲望は枯れてしまうのだろうなあと思った。

自分を大きく見せようという気持ちはあるのだろうがあまり効果が出ていないというところが嫌われない理由だ。劣等感を刺激しないのである。

経営に対しては極めて真面目

この記事を書くために改めて経歴を調べて見た。日本大学の産業経営学科を出てアルバイトでレンタルレコード屋で才覚を認められて会社を興すことになったそうだ。MBAを取った全ての人が経営者になれるわけではないわけでよほど才覚があったのだろう。

YouTubeの中でも常に事業について考えていると語っており、基本的にお金儲けや事業が好きなんだろうなと思う。一方で人が好きというのも経営者としては好感度が高い。事業について考えるのが好きで面倒見もいいというのが日本で起業家として成功した理由なのだろうなということはよくわかる。

とにかく自分で動いているので説教臭さが出ない。お金をかけている割には肌年齢は年齢並みといった感じだが、50代特有の「社会はこうでなければならない」という老けた説教臭さもない。おそらく自分の経験から「こうあるべき」などと言ってみても仕方がないことを知っているのだと思う。

経営者としての真面目さはYouTubeの端々に出てくる。ボランティアを維持したいがスポンサーはつけたくないという人からの相談を受けてあれこれ考えてあげている。おそらく自分の引き出しの中をいろいろ当たっているのだろうが普段からしょっちゅうこういうことを考えているのだろうなということがわかる。

とにかく自分で動いて自分の食い扶持だけを稼ぐというやり方は文春でかなり叩かれている。だがよく考えて見るとそれが組織にしがみつかない生き方につながっている。文春は組織にしがみついて自己保身に走る人たちも叩いているのだから、どちらにせよ叩かれることになるわけだ。だったら好きにやった方がいい。

お金を儲けるということに対して罪悪感がなくおそらく「立派なビジネスとそうでないビジネス」という区分けもない。

ただいいところばかりを書いていてもつまらないので悪いところを探してみよう。

お金持ちの視線には庶民は入っていない

プライベートジェットで鳥取までカニを食べに行くという動画があった。スタイリッシュな実業家たちが「社会はこうあるべきですよ」などと言いながらカニを食べに行くという動画だったら「あんたたち何を言っているんだ」と感じたと思う。

だが風采のあまりさえない面々が(とはいえ聞いたことのある顔がたくさん出てくる)が機内でカラオケなどしながらカニを食べに行くだけという動画だ。週刊誌報道によるとミシュランの名店だそうだがそこまで羨ましい動画でもない。

日本の贅沢の限度というのはこの辺りなのだろう。お金の使い方をよく知らない野球選手が大金をつかんでも大したファッションにならないのに似ている。

このブログはいつもは庶民の目線から書いている。当然社会はもっと貧困層の面倒を見たり賃金を上げて従業員の再教育に投資視したりすべきだという結論になる。ところが一連のYouTubeはお金持ちの目線で作られているので飛行場やお店にいる一般の人たちが「黒子」のように見えてしまうのだ。つまり庶民は背景の中に消えてしまい目に見えない存在になっている。

松浦さんはこの中で「お金持ちはこういうお金の使い方をしているんですね」というようなことを言っている。つまり、自分たちの仲間とそれより上層の人のことは見えているがそれより下の人たちに対して取り立てて強い興味関心は持っていないようだ。

このように社会に対する目線があまりないのが日本の富裕層の意識なんだろうなと思う。ただインナーサークルはそれなりに居心地が良さそうである。

日本から逃げ出したいらしいが、そもそもまだ日本にいたんだという疑問

さらにひろゆきさんとの対談の中で海外脱出についても語っている。最近、富裕層の海外逃避について言及することが多いひろゆきさんは「自分は制度が変わる前に海外に脱出できた」という話をしていた。2015年に制度改正があり、節税のために国外に脱出するのが難しくなっているのだそうだ。ちなみに日本人が国外に移動することは憲法で保障された人権でありこれを妨害することはできない。

平成27年度税制改正により、国外転出時課税制度が創設され、平成27年7月1日以後に国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。)をする一定の居住者が1億円以上の対象資産を所有等している場合には、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されることとなりました。

国外転出時課税制度

松浦さんは「出国税」を払ってもいいからマスコミに追いかけられない外国にゆきたいと考えているようだが逆に「そもそも日本に残るという選択肢があるんだなあ」と感じた。ぬるま湯的なインナーサークルが居心地がいいので外に飛び出してゆこうという気持ちになれないのだろう。

「日本が嫌」といいつつ日本は居心地がいいし外に出るのもちょっと怖い

常に外資を稼ぐ必要に迫られる韓国はそもそもビジネスリーダーが韓国にとどまるという自由はない。J.Y. Park(パク・ジニョン)などは若い時にアメリカに出かけてかなりきつい思いをしながら自分たちの音楽を売り歩いていた。この時に一緒だったパン・シヒョクものちにアメリカでBTSをヒットさせている。

松浦さんのように過去に実績があり人の世話が好きで人脈作りが得意な人が「アメリカに進出しないで国内にいる」贅沢が韓国では許されない。その意味ではなんだかんだ言いながら日本はまだまだ余力のある国で「日本にとどまる」という贅沢が許されているんだろうなと感じた。

ただこういう人はおそらくアメリカに出た方がいろいろ楽しい思いができるはずである。あまり変化を好まない日本のビジネス環境は刺激を求める人には退屈なはずだ。ただ、仲間内でわちゃわちゃする小さな幸せを積み重ねてしまうと外に出て自分を試すのはちょっと億劫になるかもしれないなと思う。

日本は政府にお金がなく借金で国民福祉を維持している。このため特に使うことに消極的になりがちだ。だが日本経済そのものは非常に好調で海外から毎月1兆円から2兆円を超える資産が流れ込んでいるという現状もある。つまりお金がある人がお金を使うのは悪いことではない。欲を言えばもっとスケールが大きな使い方をして自慢した方が社会のためになる。誰もが羨ましい、真似したいと思えるのようなことだ。例えば宇宙旅行などはそういう事例である。

むしろ問題は起業家や経営者が先行きの不安を感じて給料などの出費を絞ることだろう。お金がないことが問題ではなく使わないことが問題なのだ。

唯一非難されるとしたら日本にいて海外に出てゆかないことだろう。日本人が外に出て活躍するためには足がかりを整備してくれる人が必要だからだ。

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