オスプレイの飛行差し止めについて初動に重大な食い違い 背景にある日米の文化差

オスプレイの飛行差し止めについてようやく国防総省が情報共有を約束し当面の飛行の差し止めを表明した。この間、数日間ではあるが日米政府のコミュニケーションに不安を感じさせる情報の遅れが見られた。つねに遠慮がちな日本政府が米軍との間にコミュニケーションパスを確立していないということがわかった。また、米軍も日本のシビリアンコントロールに対して強い警戒心を持っているようだ。このように概観すると日米同盟が意外と脆弱な基盤の上にかろうじて成り立っていることがわかる。

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オスプレイの飛行差し止めに関して日米で言い分が食い違う 国防総省は当面は飛行継続の考え

オスプレイの事故後の対応が錯綜している。日本側は原因がわかるまで飛行を中止するように要請したと主張しているがアメリカの国防総省側は「そんな話は聞いていない」と言っている。実際には事故後も飛行が確認されていた。国防総省側は「原因がわかったら必要な措置を講じます」と言っている。一体何が起きているのか。

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6人を乗せた米軍のオスプレイが屋久島沖で墜落 180度ひっくりかえって炎という報告も

6人を乗せた米軍のオスプレイが屋久島沖で墜落した。1名が救助されたそうだがその後死亡が確認されている。沖縄の問題としての報道が目立つが本土にも飛行区域が設定されており自衛隊も配備している。自衛隊のオスプレイは佐賀県と千葉県木更津に配備されており、佐賀の訓練飛行は見合わせが決まっている。安倍政権になって導入が決まったという印象があるが、実際に検討を始めたのは民主党政権時代だったそうだ。岸田政権は新たな火種を抱えることになったが米軍オスプレイの運用は「日米合同委員会マター」であり国会に報告したり承認を求める法的義務がない。岸田政権はこの全容を国民に報告できないので、選挙対策で頭がいっぱいになっているバイデン大統領の配慮がなければ全ては米軍の対応次第ということになる。

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岸田総理がフィリピンの準同盟化を推進 覇権主義的に動く中国への抑止力強化を念頭に

カナダのヘリコプターが中国からフレア弾を打ち込まれたとCNNが伝えている。信憑性は確かではないが独自記事扱いだ。記事によると墜落の危険性もあったという。偶発的な軍事衝突の可能性が高まっていて、日本も対応を迫られている。

外遊中の岸田総理はフィリピンとの準同盟化を推進していると伝わる。

激変する国際情勢に対応するためには必要な措置なのかもしれないが突然の外遊に突然の関係強化報道だ。「準同盟」という言葉がひとり歩きする危険性もある。日本国憲法は国連のような国際機関を念頭に置いた協調主義を前提に作られているためそもそも「同盟」に関する規定すらない。だから「準同盟」にも定義がないのである。国民の間に共通認識を育て、枠組みをどう管理してゆくかがますます重要になってくる。

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「日米共同ミサイルの共同開発計画」への期待と不安

日米両政府は超音速兵器を迎撃するために新しいミサイルを共同開発することで合意した。18日にキャンブデービッドで行われる日米首脳会議で合意する見通しだ。日米が協力し敵基地に対する反撃能力の保有を両輪とした「総合防空ミサイル防衛」の早期実現を目指す。さらに多数の小型衛星を連携させて情報収集能力を向上させる「衛星コンステレーション」の構築に向けても協力を強化する。「これで日本も安心だ」と思えるのだが背景事情を調べると意外に脆いバランスの上に成り立っていることがわかる。ミサイル防衛網に対する期待と不安について考える。

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防衛省の最高機密情報が中国軍にハッキングされるも防衛省は「スルー」の考え

どうやら防衛省のサーバーが中国軍ハッカーに侵入されたようだ。時事通信が報道しX(旧Twitter)でも話題になっていた。この件について聞かれた日本政府は「機密情報が盗まれた形跡はない」と言っている。おそらく盗まれたことに気がついていないのだろう。このままではアメリカ軍は日本に情報提供ができない。日米韓が連携して北朝鮮のミサイルに対応するといった高度なスキームの構築は難しくなりそうだ。

ワシントンポストには「問題解決の最初の一歩は問題の存在を認めることである」という指摘がある。日本政府はそれに応えなかった。

IT技術の不足が国土防衛に大きな影響を与えようとしている。

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松井広島市長が岸田総理の「広島ビジョン」を否定へ

バーベンハイマー騒動ですっかり忘れられない夏になったが、今年も広島に原爆が投下された8月6日がやってくる。岸田総理も出席して原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が行われる。式典には100カ国以上と欧州連合(EU)代表が出席するという。

今年の平和宣言で広島市長は広島ビジョンの基礎になっている核抑止論を否定する平和宣言を発信するそうだ。共同通信が「6日、広島原爆の日 「核抑止論は破綻」宣言へ」で伝えている。「破綻」とはずいぶん強い表現だなと感じた。

公明党と維新を含む野党は核禁条約へのオブザーバー参加を求めているが自民党は明確な回答ができなかった。党内議論がまとまっていないことがわかる。

一方で、「日本もアメリカの核の傘の下に入るべきだ」という核共有の議論がある。安倍総理が「タブー視してはいけない」として議論がスタートした。一時は高市早苗政調会長の元で議論されかけたのだが岸田総理はこちらの議論にも後ろ向きである。

広島ビジョンが市長から否定され具体的な方向が示せないままで岸田総理は祈念式に臨席することになる。

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玉城デニー沖縄県知事の訪中はなぜ危険で軽率なのか 「沖縄の主権」という戦後の積み残し課題

玉城デニー沖縄県知事が中国を訪問した。格式にこだわる中国は地方自治体の長に過ぎない玉城知事を李強首相が迎えるなど歓待ムードだった。中国の厚遇の裏にはもちろん日本政府に対する揺さぶりの意図がある。だが、おそらくそれは当事者たちが考えるよりずっと深刻な意味を持っている。ここではまず冷静に時系列で関連記事を読んでゆきたい。中国がなぜ一地方の長を「国家代表並み」に扱ったのかがわかる。背景には「沖縄の主権」という戦後の積み残し課題がある。

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自衛隊で「支配欲の暴走」が起きている可能性について漫然と考える。

先日、五ノ井里奈さんの事件を取り上げて「これは性被害ではないのではないか?」と書いた。女性運動家の人に言わせると「男性側からの矮小化」だ。

だが、文章の趣旨は

おそらく自衛隊の中に何らかの不安定さが存在するのであれば、男性の言い分も聞いた上で、問題を精査する必要があるのではないか

というものだった。

そんな事を考えているうちにまた別の事件が発覚した。今回は男性の男性に対する「性被害」である。これを読んで「自衛隊で起きている問題は性の乱れではなく支配欲の暴走なのではないか」と感じた。Quoraでもこの件についてぶつけて見たのだが「そもそも自衛隊で何かが壊れているのではないか」という前提そのものが受け入れてもらえなかった。

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五ノ井里奈さん性被害事件で忘れられがちな「脅かされる男性側」の視点

五ノ井里奈さんの事件の裁判が始まった。「笑いを取るために押し倒した」とする証言が社会的に非難されている。だがここではあえて「男性側の視点」から問題を捉えてみたい。「絶対的加害者である男性の味方をするとは何事」という批判はありそうだ。しかしそれでも問題を解決したいのなら避けて通れない視点なのではないかと思う。

コメントで任期付と任期制を誤用しているという指摘があり当該箇所を直した。元自衛官を任期限定で採用する「臨時制度」があり、それを任期付と言っているそうだ。

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