アメリカ合衆国が連邦政府閉鎖を土壇場で回避 何が決まり何が決まらなかったのか

事前の予想では「政府閉鎖は避けられない」だったが、土壇場で回避された。なにが決まり何が決まらなかったのかだけを簡単にまとめておきたい。今回決まったのは45日の暫定予算なので、次の争点は下院議長の解任と11月中旬以降の本予算編成ということになる。

“アメリカ合衆国が連邦政府閉鎖を土壇場で回避 何が決まり何が決まらなかったのか” の続きを読む

カナダで下院議長が辞任 原因は「ある歴史認識問題」

カナダの下院議長が辞職した。どの国でも歴史総括は難しいものだなと思う。表面的にはロシアのプロパガンダに材料を提供したことが問題視されたのだが掘り起こしてゆくとカナダが過去に「反共産主義」と「ユダヤ人の人権」の間で揺れていたという問題が出てくるのだという。だがこの問題はおそらく歴史総括の話にはならず政局的に利用されるだろう。カナダでも徐々にリベラル離れが始まっている。

“カナダで下院議長が辞任 原因は「ある歴史認識問題」” の続きを読む

「アメリカドルに手を出すのは、今はちょっとやめておけ」と言う話

連日、日本円で運用しても利子はつかないので「ドルで運用した方がオトク」と言う話を書いている。だが「今、ドルを買うべきだ」と言う話は一切していない。単に研究しろと言っているだけだ。

なんかずるいーなあと思うかもしれないのだが理由がある。来月の動向がどうなるかがよくわからないのだ。さらに、150円は既に「オーバーシュート」の領域に入っていると言われている。

年末にかけて155円程度まで円安が亢進する可能性もある。情報を順序立てて組み立てればそれなりの方針が立てられるが既に情報酔いしている人は手を出さない方がいいかもしれないと思う。ギャンブル好きの人には活躍のチャンスだが、単に「あ、値上がりしている」で買ってしまうと後で損をする可能性も高い。

“「アメリカドルに手を出すのは、今はちょっとやめておけ」と言う話” の続きを読む

アゼルバイジャンとトルコ 次の狙いはナフチバン回廊

国際政治というのは残酷なものだと思う。ロシアに傾倒していたアルメニアが国際的に孤立しつつある。アゼルバイジャンとトルコの次の狙いはナフチバン回廊だ。梯子を外されたアルメニアは実質的な救済を得られずナゴルノ=カラバフからの難民が急増している。アメリカとロシアはお互いに避難を繰り返すが具体的なアルメニア救済の見込みは立っていない。

“アゼルバイジャンとトルコ 次の狙いはナフチバン回廊” の続きを読む

来月はアメリカ経済統計の発表停止に注意 政府閉鎖の影響で

ロイターで大きく報道されているので知っている人は既に知っていると思う。アメリカの政府が閉鎖されると経済統計の発表が止まる。アメリカの株や債権に投資をしている人や為替動向に興味・関心のある人は、アメリカの議会動向を注意しておいたほうがいいかもしれない。

米政府当局者は25日、米議会が期限までにつなぎ予算案を可決できず政府機関が一部閉鎖されれば、雇用統計や消費者物価指数(CPI)など、主要経済指標の公表が無期限で停止されることになると発表した。

米政府閉鎖なら雇用統計など主要指標の発表が停止=当局者(Reuters)

“来月はアメリカ経済統計の発表停止に注意 政府閉鎖の影響で” の続きを読む

EVシフトに苦しむビッグスリーの「恐竜化」と政治問題化するストライキ 

アメリカの自動車企業のうち「ビッグスリー」労働組合の共同体であるUAWがストライキをおこなっている。バイデン政権に打撃などと書くところもあるのだがなぜこれらの会社がストライキを行いバイデン大統領にとって逆風なのかということがわからなかった。だがここにあるキーワードを入れることで状況がはっきりする。それがEV(電気自動車)シフトである。

当初このニュースを聞いた時てっきりインフレに追いつけずに焦った労働者がストをおこなっているのだろうと思っていた。こうした調査に基づかない思い込みは危険だ。中身に関してよく精査しないとミスリーディングにつながりかねないと反省している。

ただ、この自動車のストについてみてゆくとかなり興味深いことがいくつもわかる。

例えば古い産業構造の転換が難しいのは何も日本特有の問題ではない。さらにそれを補助金で操作しようとすると思わぬハレーションが起こることがある。さらに二大政党制の問題も浮かび上がる。多様化しているアメリカにおいて「二つの政党で全ての政策を集約すること」などできるはずもない。さらにアメリカの有権者も変化しつつある。

最後に「政治ショー」としての面白さもある。実はトランプ氏がUAWを狙っている。他人を苛立たせることにおいては天才的な能力を発揮する人であり、それを面白がる有権者も多い。「ショー」が派手になればなるほど共和党の他候補者たちと政策論争はさらに埋没することになりそうだ。

“EVシフトに苦しむビッグスリーの「恐竜化」と政治問題化するストライキ ” の続きを読む

ロシアのラブロフ外務大臣によると「西側とロシアはすで戦争状態」にある

ラブロフ外務大臣が「西側とロシアはすでに事実上の戦争状態にある」と宣言した。極めてわかりやすい「ならず者」の論理という気がする。例えていえば「俺は殴ったけど喧嘩をしているとは言っていない。だがお前らがそのつもりならかかってこい。相手になってやるが、絶対に話し合いには応じない……」と言っていることになる。このエントリーは単に「何か無茶苦茶だなあ」と言いたいだけであり特に内容も考察もない。

おそらく誰かがこれを「戦争である」と認めない限りこの混乱は続くのではないかと思う。

“ロシアのラブロフ外務大臣によると「西側とロシアはすで戦争状態」にある” の続きを読む

おそらく完成することのないパズル「中東」 バイデン大統領とネタニヤフ首相がホワイトハウスの外で会談

国連総会が開かれているニューヨークでバイデン大統領とネタニヤフ首相が会談した。アメリカ合衆国とイスラエルは緊密な関係にあるため会談して当たり前なのだが今回は事情が違っていた。事前の報道ではホワイトハウス訪問の予定はないとされていた。報道通りホワイトハウスでの会談はなかった。だが全く会わないといわけにもいかなかったようだ。

アメリカにとって中東和平がいかに厄介なパズルなのかということがわかるがバイデン大統領が二期目を決めるためにはどうしても完成させたいパズルである。

“おそらく完成することのないパズル「中東」 バイデン大統領とネタニヤフ首相がホワイトハウスの外で会談” の続きを読む

アメリカ上院のサウジアラビア強硬派重鎮に収賄疑惑 隠し持っていた金の延べ棒も見つかる

アメリカの上院議員で外交委員会の委員長メネンデス氏の収賄疑惑を各メディアが報道している。エジプト政府からの賄賂を受け取っていたようだ。上着に隠されていた札束と金塊が自宅から見つかったようだ。メネンデス氏に疑惑がかけられるのは2回目だそうだが前回は無罪を勝ち取っている。この件についてロイターが面白いことを書いている。この人はサウジアラビア強硬派で「バイデン政権の攻略対象になっていた」という。

“アメリカ上院のサウジアラビア強硬派重鎮に収賄疑惑 隠し持っていた金の延べ棒も見つかる” の続きを読む

トランプ氏は捜査妨害のために議会の外から政府封鎖をご所望

実にたわいもない話なのだがトランプ氏が政府の封鎖を呼びかけている。政府は自分をいじめるために司法を武器化している。資金の流れが止まればそんな意地悪もできなくなるだろうと言うのだ。つまり目的は捜査妨害だ。仮に全ての犯罪捜査が止まればアメリカは大混乱するだろうが、そんなことはお構いなしといったところである。

実際の政府閉鎖まで1週間強と言うところまで来ている。民主党・共和党の中道勢力が歩み寄るシナリオも期待されるが、なかなか想定通りにゆかないのが悩ましいところである。

“トランプ氏は捜査妨害のために議会の外から政府封鎖をご所望” の続きを読む