マイナンバー健康保険証問題より深刻な医療機関のIT脆弱性問題

マイナンバー健康保険証の懸念点の1つは「医療機関から健診データが漏洩する」というものだった。ただし根拠はかなり脆弱なもので、どちらかといえばあまりITに詳しくないマスコミが騒ぎを大きくしていたような側面がある。

ITメディアニュースに「医療団体、ITベンダーに「サイバー被害の一部を負担するべき」と提言 情報提供不足なら契約になくても責任求める」と言う記事が出ていた。この手のニュースがYahoo!ニュースに出てくることはないのだろうが、Feedlyではよく読まれているようだ。サイバー被害の対策費用を誰が出すかで揉めている。放置すれば情報漏洩やシステムダウンのリスクが高まる。

マイナ健康保険証問題よりもずっと深刻な問題が放置されていると感じた。原因は医療機関とIT業界の意識のズレである。特に医療機関の時代錯誤ぶりは目に余るものがある。ただし医療機関の意識を変えるためには抜本的な政策転換が必要だ。おそらく今の日本にはそれほどの危機感はない。

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ChatGPTやBingを使うと国際政治学の難しい記事も簡単に読めるようになる

Twitterに国際政治学の記事が流れてきた。フォーリンポリシーの「One World, Rival Theories」という記事である。国際政治理論の潮流にはどんな流派があるのかということを扱った英文の記事なので「読んでみたいなあ」とは思うのだが英語だしかなり長い。政治学の素養もないし「読むのは面倒だなあ」と思った。

ここでChatGPTでラクをしようという考えが浮かんだ。実際にやってみたところ10秒程度で要約と翻訳が完成した。これで国際政治の記事を読まずにまとめ記事が量産できるか?と期待したのだが、世の中はそんなに甘くない。まとめは間違っていた。

ただChatGPTが全く無能かというとそんなこともないようだ。使い方によっては非常に役に立つ。繰り返しになるが英語と政治学の素養がないにもかかわらず大体の骨子が理解できてしまうのである。ChatGPTとBingのチャットボットを使って記事をまとめてみた。

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共同通信の「なかのひと」に左翼系炎上アカウント疑惑

NEWSポストセブンが「【独占】ツイッターでヘイト発言を繰り返していた「桜ういろう」は、共同通信の社会部デスクだった」という記事を出している。記事を読む限りはネットの情報と共同通信社内の消息筋の情報を集めただけのようだ。しかし、なかなかインパクトがある。まずは右だけでなく左もこうなるのかという驚きがあった。仮に事実であれば共同通信にとっては恥ずかしことだ。だがそれでも共同通信は実際に何があったのかを説明すべきだろう。

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ChatGPTは「左寄り?」

世の中には常に中立な答えがありAIならそれを正しく用意してくれるだろうと考えているならその考えは捨てた方がよさそうだ。

ロイターに「チャットGPT、カスタマイズ可能に 「バイアス」懸念に対処」という面白い記事が出ていた。ユーザーがある程度ChatGPTを調整できるようになるというのだ。Bloombergも「ChatGPT手掛けるオープンAI、偏向や不適切な応答の減少に取り組む」という記事を出している。

このニュースはChatGPTのようなAIサービスがある程度独自の政治的意見を持てるようになるということを意味している。ではなぜこのような調整が必要なのか、そもそもChatGPTはどうして左寄りになったのか。気になった点を調べてみた。

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日経新聞の「雨宮総裁報道」敗戦総括を読む

新聞の世界で誰もとっていないネタをとってくることを特ダネと呼び自分達だけネタが取れなかったことを特オチと呼ぶ。そして特ダネのつもりのものを外すと「トバし」と呼ばれる。最近日経新聞が「雨宮総裁誕生へ」としたニュースは当初は特ダネとみなされてていたが実際には雨宮総裁は誕生しなかった。これについて総括している記事があったので読んでみた。なおタイトルは「敗戦の弁」としたが実際には雨宮総裁待望論になっている。分析というよりは文学だ。

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アメリカの中間選挙で銃が多用された選挙CMを見せられたあとで投票所に向かう人たち

いよいよアメリカで中間選挙が始まった。結果は日本の朝になってから出てくる。ロイターでは9時ごろから速報を始めますと言うお知らせが出ていた。今回の注目ポイントはすでに別の記事にまとめた。ここは少し視点を変えてアメリカの選挙CMとSNS事情についてみてゆきたい。

BBCが二つの記事をまとめている。

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イーロン・マスク氏が金のガチョウ(Twitter社)を危うく殺しそうなっている理由

以前にアメリカの金融政策の急速な転換がTwitter社のリストラの原因になっているのではないかと書いた。より具体的な記事を見つけたので読んでみた。おとぎ話風に要約すると「金のガチョウを手に入れたはいいが餌代がもったいないので半分に切ってしまった」と言う話のようだ。ただ餌代をケチるのには理由がある。実は多額の借金を背負っているのだ。

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Twitterの混乱。彼らはどこで何を間違えたのか。

11月5日のTwitterは阿鼻叫喚だった。突然解雇通知された人たちの怒りの声で溢れていたのだ。一方的な解雇は珍しくないがSNSが一時ジャックされるほどの騒動はやはり異例だ。この混乱を受けて広告主が撤退を始めている。彼らはどこで何を間違えたのかを旧Facebookの事例などを交えながら考察した。

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SNSを鵜呑みにした男がペロシ邸に押し入り私的制裁を加えようとする

すでに多くの報道が出ているので目にした人も多いだろう。10月28日にペロシ邸に男が押し入った。ペロシ下院議長は不在だったが夫はハンマーで頭蓋骨骨折の怪我を負わされた。この男が起訴され動機の一端が見えてきた。SNSの情報を鵜呑みにし「真実を知る」ために乗り込んだようだ。その代償は重く、禁錮30年から終身刑の可能性もあるそうだ。

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