政治情報の本来の目的はわかりやすく政治について伝えることで政治への参加意識を促すことだ。
だが、どうも最近は国内の事情を書けば書くほどこの目標から遠ざかり「もう与野党で勝手にやっていればいいのではないか」と感じることが増えた。
国会閉幕を日曜日に控えた参議院では土曜日もガソリン暫定税率法案の審議を行うそうである。どっちみち否決されることがわかっているのに一体誰が見るんだろうとは思うのだが、与野党とも絶叫気味に自分たちの正しさを訴えていた。
「ドン引きした」以外の感想が出てこないのだが、果たしてこんなことを書いていて意味があるのかと考え込んでしまう。
参議院選挙を目の前にして野党支持率が伸び悩んでいる。焦った野党は財務金融委員会の委員長を解任し職権を奪ったうえで「委員長権限」で法案を可決した。
Quoraで「こんなのは茶番だ」と書いたところ「実質的な審議が期待されるはずだ」と反論コメントが付いた。決めつけると反論したくなる人が出てくるようだ。
ところがそもそも会期が22日で終わってしまうため実質的な審議など行えるはずはない。
案の定だった。想像より酷かったかもしれない。
結果的に切り抜かれたのは自民党の「ま・る・な・げ」だった。与野党とも騒然とする中で審議が行われ土曜日にも国会を開いて法案を「やっつける」ことになったそうだ。一体誰のための休日出勤なのかさっぱりわからない。
今回議員は選挙で頭がいっぱいになっており当然有権者もこれに付いてきているだろうと思い込んでいるのではないかという気がする。
給付金ばらまきゲームは結果的に自治体を疲弊させる。自治体からは異論も出始めているそうだ。政府が場当たり的に意思決定するたびに自治体職員が業務の他に追加業務を抱えることになるうえに、苦情の電話などの対応で精神的に参ってしまう職員も増えるのだという。
では国民はこれをどのような気持ちで見ているのだろう。すべての国民を代表することはできないが、個人的には」「勝手にやっていれば?」と感じてしまう。
自民党の「ま・る・な・げ」にも頷ける点はある。
今回のガソリンの暫定税率法案は参議院では与党がブロックしてくれるという安心感がある。このため思い切ったプロレスが可能なのである。
野田佳彦代表は政権交代の可能性に怯え不信任決議案を出すことを拒んだ。総理大臣経験者であり次の総理候補でもあるため「今関税交渉や物価高対策を押し付けられては困る」と考えた可能性がある。
となると、実は今回の参議院選挙で自民党に負けられると困るのは実は野党(特に立憲民主党)なのかもしれない。衆議院は少数与党状態になっているため、野党が何かを要求すると自民党は丸呑みせざるを得ない。野党は政権奪取ごっこをやっているが実際には面倒なことは担当したくない。
野党としては「どれだけ暴れても参議院でブロックされる」という安心感があるからこそ大暴れができるわけで、仮にこの歯止めがなくなってしまうとプロレスが成り立たなくなる。
冷静に考えてゆくとどうしてもこのような結論になってしまうのだが、結果的に「選挙なんか行っても行かなくても同じ」とは申し上げにくい。
国会のプロレスを観察していると、野党も与党も実は問題解決などできるはずがないと悟り始めているということがわかってしまう。さらに面倒なことは自治体に任せて恩恵だけを受け取ろうという浅ましさも感じる。
これらを冷静に分析して提供したところで「じゃあ選挙に行って状況を変えよう」などと考える人はいないだろう。