Xのトレンドワードに「辞任会見」と出ていた。辞任会見と思ったが単なる夢をダラダラ語る会見だったとする揶揄する投稿が多くありトレンド入りしたようだ。ここまで嫌われているのかと感じた。そんな石破総理だがNATOの首脳会談から逃走した。外交的にはかなり行き詰まっているようだ。
発端はフィナンシャル・タイムズのGDP比3.5%要求報道だろう。アメリカ合衆国は同盟国に軍事費負担を求めている。その一環として日本にも3.5%を突きつけたところ、日本政府が激怒し2+2を「スクラップにした」という内容。
今回のNATO首脳会談ではインド太平洋の問題は語られず主に軍事費負担が話し合われる可能性がある。この席で関税など持ち出そうものならやぶ蛇になるのは火を見るより明らかだった。
この件について突き詰めてゆくと財政的・政治的に余裕がなくなったアメリカ合衆国が諸国に応分の負担を求めて交渉を始めているという事実が白日のもとにさらされてしまう。このため日本のマスメディアはこの事実を余り伝えたがらない。林芳正官房長官は「そもそも事実無根」と回答し、メディアもそれ以上のことは聞いてはいけないといった雰囲気だ。
TBSの「ひるおび」では毎日新聞の佐藤千夜子さんが次のようなことを言っていた。
石破総理はそもそも都議会議員選挙の応援に入るつもりはなかった。NATO首脳会談の「お勉強」を優先したのだという。しかし各党が参議院選挙の前哨戦と位置づけるなか自民党の総裁だけが出てゆかないわけには行かないということになり最終日に急遽駆り出された。
日経新聞がこれを裏付ける報道を出している。前半にも応援演説が予定されていたが「NATO首脳会談などで日程が窮屈」という理由で見送られ、最終日の演説も二箇所にとどまったのだという。
佐藤氏によれば「自民党が勝てそうなところ」を選び「石破で負けた」という印象を薄めようとしたのだそうだ。
実は負けることがわかっていた都議会議員選挙からも逃げた可能性があるということだ。石破茂と言う人の人となりがよくわかる。
石破総理と外務省は当初トランプ大統領がイランとイスラエルの戦争から距離をおいていると考えイスラエルを非難する声明を出してしまう。ところがこの対応は実はイランを騙すための口実だったことが徐々に明らかになっている。さらにG7サミットではヨーロッパがイランの核兵器開発に脅威を感じていたこともわかった。
ホルムズ海峡に経済を依存する日本はイランとの間に良好な関係を保っていたが結果的に国際世論の板挟みとなってしまい身動きが取れなくなっている。石破総理はアメリカ合衆国の今回の軍事介入を批判するかと聞かれて何も答えられなかった。心理的に「フリーズ状態」にあり、おそらくNATO首脳会談に出席しても何も言えないだろう。
かろうじて「アメリカ合衆国が核兵器保有を阻止しようとする決意は評価できる」との声明を出した。
今回の一連の「逃げる石破」にマスコミはなぜかやさしい。今回のNATO首脳会談欠席も「中東情勢が緊迫しているから」「トランプ大統領も来ないかもしれないから」という政府の発表をそのまま流している。緊迫しているのであれば余計に各国が何を考えているのかを肌で感じなければならないのではないかと思うが、それを石破総理に突きつけたメディアはない。国際会議が苦手で空気が読めない石破総理にはとてもそんなことは出来ないとわかっているからだろう。
アメリカ合衆国が変質しつつあり、少なくともトランプ政権が続く間はこの状態が続くという現実を見たくないと言う気分は日本のメディアでも支配的なようだ。「嫌なことは考えなければ消えてなくなる」という言霊信仰ゆえなのかもしれないが、おそらく消えてなくなることはないだろう。
総理大臣に就任する前の石破茂氏は軍事に強いと言う印象があったが、結果化的には変化しつつある日米同盟と国際社会の変化に全く対応できていない。
参議院選挙での結果が芳しくなければ「あるいは」ということもあり得る。都議会議員選挙で投票率が伸びたことで自民党や公明党が惨敗したことで「今回は選挙に行ってみようか」と考える人も増えるかもしれない。巳年選挙は確かに恐ろしい選挙のようだ。