今回の参議院選挙。自民党はかなりまずいのではないか。森山幹事長が「消費税を守り抜く」と主張しているという。これが「自民党が守りたいのは国民生活ではなく消費税」と捉えられるのではないかと感じた。
共同通信が世論調査の結果をまとめている。投票で重視しているのは物価高対策。選挙区の投票先を決めていない人が46.3%。決めている人の投票先は野党のほうが多い。さらに50%が過半数割れが望ましいと言っている。少数与党状態のほうが国民の意見が通りやすいと考えているのだろう。比例の投票先は自民党17%で立憲民主党9%となっている。特に飛び抜けて支持を集める政党がない。特にこれと言った政党が見いだせないというのが現状だ。
国会の終盤議論でも決め手になるような議論はなく「これからの動きを見て投票先を決めたい」と考える人が多いことがわかる。
政治に詳しくない人はおそらくそれぞれの政治家や政党の言動から「どの人が自分の味方になってくれるか」を決めるのではないかと思う。
現在の物価高はアベノミクスの成果である。アベノミクスで謳っていたデフレが脱却できたので物価が上がり始めた。成長=物価高だ。しかし国民はこれまで自民党の政策について余り理解してこなかった。このため眼の前の物価高をなんとかしてほしいと考えている。仮にどうにもならないのなら消費税を下げてほしい。毎日見るレシートに書いてあるからである。
このように漠然とした感覚を持っている人たちはおそらく森山発言を聞いて「森山さん=自民党」が守りたいのは国民生活ではなく消費税なのだと感じるだろう。
さらに今回の森山発言では2万円の算出根拠も問題を広げそうだ。おそらくは立憲民主党に対抗するために金額ありきで算出されたものと思われる。このため総理大臣は「財源の上振れ分」と説明しており、森山氏は「食料品の消費税負担額だ」と説明が別れている。共同通信は「説明が食い違っている」とは説明してない。またFNNプライムオンラインはそもそも総理大臣の説明を併記していない。
今更言っても遅いのかもしれないが、なぜ安倍政権はデフレ脱却の出口戦略を考えて置かなかったのだろうか。あるいは日本が成長するはずなどないと考えていたのかもしれない。