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維新は現役世代にとって重要な選択肢なのか? 医療費削減などの公約を発表


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維新が参議院選挙の公約を発表した。医療費の4兆円削減で社会保障費を年額6万円(1人あたり)減らすことが大きな目玉になっている。現役世代にとっては希望が持てる選択肢なのかもしれない。

だがしかし……とも思う。党内ガバナンスに不安があるためだ。

維新の公約を見て「本当にそんなことができるのか?」とは思う。だが、このあたりは報道番組などで検証が行われるだろう。

前回までの選挙報道の反省から一部の局は選挙期間であっても積極的に選挙報道を行うと宣言している。すでに都議会議員選挙で先行的な取り組みを始めている局もあった。TBSは兵庫県知事選挙でのオールドメディアへの反発が斎藤元彦知事を生んだと言う反省からこれまでの抑制的な報道姿勢をかなり問題視しており先進的な取り組みを行っているように感じられる。

そもそも批判をする前に公約を見てゆこう。NHKのまとめによると維新の公約の骨子は次の通り。

「どうやって?」と思われるものが多い。また副首都は関西圏への利権誘導と見られるがNHKの報道を見る限り「大阪を副首都にしろ」とは言っていない。またアメリカからのプレッシャーにどう応えるかなども含まれていない。ただし自民党や立憲民主党が打ち出せていない姿勢であることは確かなので代替選択肢としては評価できる内容だ。

  • 社会保障費を1人あたり(1世帯あたりではなく)6万円下げる
    • このために年間4兆円の医療費削減が必要
  • 首都機能を代替できる「副首都」を作る
  • 防衛費は2%までアップ
  • 人口戦略を見直し外国人の無秩序な増加を食い止める
  • 物価高対策
    • 食料品消費税の税率を2年間ゼロにする
    • コメの輸入を増やし国内生産も拡大する

AERAは維新は吉村代表の進退もささやかれ… 参院選直前なのに「万博と兵庫県知事問題の二重苦」で止まらぬ低迷という記事を出している。兵庫県知事のダークなイメージと万博が関東圏で維新の足を引っ張っているという。

だが維新に対する懸念は「そこではないのではないか」という気がする。

梅村みずほ参議院議員が参政党に入党し参議院選挙に再挑戦することになった。維新で候補者資格が得られず「ガバナンスに問題がある」として離脱していた。その後、梅村さんは自民党や国民民主党に接近したが自民党からはハネられたようだ。日刊スポーツによると「梅村さん、どこの党でも政治家になれればそれでいいんですね」と聞かれ否定しなかったようだ。

参政党は議員が1名増えるとテレビの党首討論に参加できるため「渡りに船」だったことになる。地上波でのアピールの機会に乏しい参政党としては合理的な選択なのかもしれない。

梅村さんは組織的背景が得られればどこでも良かったわけだが参政党の政治姿勢に100%賛同しているそうだ。どの党に行ってもおそらく「私は100%その党の方針に賛成です」と言ってしまう人なのだろう。

梅村さんの離党の原因になったのは維新の予備選だった。

常勝化する大阪では公認資格が既得権益化しているのだろう。おそらく系列地方議員たちも含めた競争が激化しているはずである。梅村さんを追い出して既得権を奪取した方は「次も予備選をやるか」と聞かれて言葉を濁してし、引退した重鎮が苦言を呈している。

FNNの報道を見る限りこれは梅村さんだけの問題ではないように思える。すると「この手の人達」が維新よりも気軽に勝てそうな政党から打診を受けたらどうなるかが気になる。

後藤謙次氏が維新所属だった鈴木宗男氏の復党について言及している。

維新は大阪組と国会組の二重構造になっている。国会組をまとめているのが前原誠司氏だが教育無償化の受け入れを条件に自民党・公明党政権の予算に賛成し「対決する野党」のイメージを作れなかった。おそらく求心力があまりない前原さんでは切り崩し二対応できないのではないか。この人も国民民主党から維新に乗り換えており渡り鳥的な印象が強い。

後藤さんは穏やかに「人の流れを生む」と言っているが要するに維新が獲得した票を自民党の中に取り込もうということを言っている。つまり維新が掘った票をかすめ取ろうということだ。

「鈴木宗男氏が自民党から出馬するというのは、維新からの人の流れを生むというミッションを私は持っているんだと思う」

自民と立憲の「大連立構想」が浮上 参院選前に早くも政界再編模索の動き(テレビ朝日)

仮に維新がイデオロギーで結束している政党であれば鈴木宗男さんの誘いにうかうかと乗る人は出てこないだろう。しかし梅村さんの発言は明らかに「私が当選できたのは維新人気ではなく私に実力があったからだ」と考えているように聞こえる。イデオロギーはどうとでもなる。新しい先で「私は御党の方針に100%賛成です!」といえばいい。

梅村さんの態度は梅村さんが有権者に説明すればいいことなのでとやかくいうつもりはない。

そもそも自民党の公認が得られなかったからやむを得ず維新に流れたと言う人は梅村さんだけではないのだろうし、大阪で維新を支えている地方議員や首長たちは自分たちの言う事を聞いてくれる候補者のほうが都合がいいと考えるだろう。こちらはこちらで既得権化してゆくと考えられる。

確かに病気が少ない若い現役世代にとって維新の公約は魅力的だ。ただし維新の問題はおそらく公約以外のところ(梅村さんに言わせるとガバナンス)にあるのではないか。

つまり今回投票した「維新の」議員が6年後も維新の議員でいる保障が必ずしも得られないと言う疑念を国会議員ではない吉村代表がどのように払拭するかが問われているということだ。