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立憲民主党が蓮舫氏を比例擁立で浮かび上がる課題


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立憲民主党が蓮舫氏を参議院比例で擁立するという。参議院・立憲民主党の強力な戦力だったのだから「結構なことではないか」と思うのだがなぜか反対意見が多いそうだ。内向き化する立憲民主党が参議院選挙に自身を持てていないことがわかる。

蓮舫氏にとっての課題は明白であり、それはおそらく都知事選挙のときの失敗を繰り返さないことだろう。だが、立憲民主とにはそれ以前の組織的な問題が大きいようだ。

立憲民主党が蓮舫氏を擁立することを決めた。野田佳彦氏に近い人物で党内の反対を野田佳彦氏が押し切った事になっている。

近頃「右傾化」が顕著な産経新聞が「党内に火種」と書くのはまあ既定路線のような気もする。帰化した事実や元の国籍に愛着を持っていることを公言しておりこの印象を立憲民主党全体に広げたいのだろうなあと思う。

が朝日新聞の記事を読んで結構内情は深刻なんだなと感じた。

連合は「連合内の組織候補が当選権から外れかねない」と考えていると危惧ししていると書いている。普通蓮舫さんのような知名度がある人が出てくれば「集票が期待され組織候補にも追い風になる」と考えるものではないだろうか。

さらに参議院選挙は事実上の政権交代選挙だとしつつ、立憲民主党の獲得議席目標は示さなかった。

おそらく各政党とも情勢調査は行っているのだろうから、立憲民主党が十分に票を集めることが出来ないと認めていることになる。

しかしながら問題はこれだけではないのではないか。迂闊に目標を掲げてしまうと、思ったような集票が得られなかったときに党内から突き上げを喰らいかねない。

蓮舫氏の課題は明白だ。都知事選挙の失敗は「内輪受け」だった。これはアメリカ大統領選挙のハリス候補の敗北に重なるところがある。

ハリス候補は華やかな経歴を持ちセレブの友人も多い。このため有名人を多数動員した。ところがこの戦略は失敗した。セレブに囲まれるハリス氏を見た有権者は「この人は自分たちとは違う」と感じてしまったのだ。

現代のSNS選挙はインスタ型で失敗しYouTube型で成功する。インスタ型は「華やかな存在」を見せつけることによって自分たちもここに加わりたいと思わせるマーケティング手法だ。しかしこのやり方は「自分たちの方を見てほしい」と考える有権者に疎外感をもたらすことになる。

現在、Quoraの政治スペースのフォロワーは8964人である。この運営を通じて感じるのは「意見を言いたいが言えない人たち」とどう付き合ってゆくかが成否を大きく変えるということだ。適度にコメントに対応し「この空間では意見を言っても害にならないのだ」と示さなければならない。

言論を放置すると過激な言論が増え、「意見を言おうか」と迷っている人たちを萎縮させることにある。発言は政治的正しさやイデオロギーによって選別されるべきではない。あくまでも「今見えていない人たちに対する配慮」が優先されるべきなのである。

都議会議員選挙でこれに失敗したのが石丸新党(再生の道)だ。ネット用語で言うところの「古参」の新人イビリがあったようだ。皮肉なことだがこれを排除するためには(つまり民主主義を擁護するためには)ある程度専制的なモデレーションが必要になる。

 「『候補者間で協調すべき』『石丸氏を立てるべき』『紫色を着るべき』『ポスターになぜ石丸氏の顔がないのか』『ウグイスのアナウンス手法が旧態依然で石丸氏の方針ではない、だからお前に入れない』等のたくさんの声は、私や鳥海陣営を苦しめました」。SNS上や街頭でもそうした言動があったといい、「最後の最後までチームメンバーは憔悴しました」と告白。「石丸代表や事務局からはなんら制限はかかったことはないのですが、あの状態は異常だったと考えております」と評した。

石丸新党から出馬の女性候補 党離脱を表明 「感謝しております」も2つの理由挙げ「あの状態は異常」(スポニチアネックス)

政治空間で目立つのは「支持者とアンチ」なのだが、実際にはそれ以外に「意見を言いたいが言えない人」が多いことがわかる。玉木雄一郎国民民主党代表は苦肉の策として始めたYouTubeでそれを見つけたのだが言語化までは出来なかった。ある程度の支持者を得た所で安心し山尾志桜里さんなどの「セレブ路線」に戻ってしまい支持率を下げている。

つまり、蓮舫氏の課題は明白でありこれを克服するのはさほど難しいことではない。

ところが立憲民主党で置きている問題は派閥抗争と縮小する連合という構造問題であり戦術的にどうこうできるようなものではない。立憲民主党の置かれている立場はかなり厳しいものだと言えるだろう。