これまで儀式的に不信任案を出してきた立憲民主党だが、少数与党状態となり実際に議会解散の可能性が出てきたために不信任決議案提出を見送った。表向きは政治空白をふせぐためとしている。これをうけて解散総選挙がなくなり参議院の単独選挙が行われることになった。
これまでの不信任決議案が単なる「野党仕草」だったことが白日のもとにさらされた。
コメの価格がやや下がっただけなのに石破内閣の支持率は回復。国民の間に「変化したくない」という怯えがあることがわかる。
野田佳彦立憲民主党代表が野党の党首と会談し「不信任決議案提出見送り」を告げた。就任以来はじめからわかっていることだが、リーダーとしての資質に欠ける野田代表では野党はおろか党内もまとめることができなかった。小沢一郎氏は党内で「不信任決議案を出すべきだ」と騒ぎ続けているが有権者の支持は得られていない。
野田代表はトランプ関税議論が大詰めだから足を引っ張りたくないといっている。しかしアメリカ合衆国はイランや移民を巡る問題で頭がいっぱいになっていてとても関税交渉どころではない。野田氏はまかり間違って自分が担当者になることを恐れているのかもしれない。
有権者は立憲民主党に政権担当意欲がないことを見抜いている。時事通信の世論調査では野党の支持は伸びていない。一時は手取りアップ政党として脚光を浴びた国民民主党の支持率も大幅に下落している。具体的な選挙を前にして自民党二投票するという人が増えている。
国民民主党が支持を失っている理由はおそらく熱量不足だろう。野党は共同して衆議院の財務金融委員長を罷免した。ガソリン税の暫定税率廃止法案の審議拒否が理由だ。仮に野党が本気で与党打倒を目指すならば会期を延長してきちんと財源について話し合ったうえで法案の成立を目指すべきだろう。表面的にはきれいごとを並べている野党各党だが選挙直前に最後の見せ場を作るための儀式的な口実づくりに過ぎなかった。
もしかしたら政権交代が実現するかもしれないという可能性は、有権者の間に期待ではなく変化に対する不安を掻き立てたようだ。選挙直前になって石破政権の支持率が上がっている。今回は不支持率が下がったのも特徴。
しかしながら石破政権がなにか立派なことをやり遂げたという実績はない。せいぜいコメの価格が僅かに下がりテレビで小泉コメ大臣の姿をちらほらと見かけるようになったくらいだ。コメ大臣は「コンバインをリースにしては?」などと空虚な発言を繰り返しているが、見た目が爽やかな大臣がテレビに映っているだけで「また自民党に投票しよう」と考えてしまうのが日本人だ。
現況を見ると有権者は自民党を信じたがっており「支持する理由」を探している。変化を極端に恐れており「変わらなくていい理由」を探し続けているのだろう。本音では少子高齢化を受け入れてしまっているのかもしれない。
今回立憲民主党が不信任決議案を出さなかったことで、衆参同時選挙の可能性は消滅し予定通りに参議院単独選挙が行われることになった。衆議院は少数与党状態が続く。世論調査によると自公政権継続を望む人と政権交代を望む人の数は拮抗しているそうである。