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税収は絶好調 参議院選挙はばらまき批判合戦


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本日参議院選挙が公示され20日まで選挙戦が行われる。盛んに党首討論のテレビ番組が行われ「お前がばらまきだ!」「いやそっちこそポピュリズムだ!」と批判の応酬になっているようだ。そんなテレビは放置し、冷静に問題を片付けてゆこう。

日本が何に重点投資すればいいのかという計画を建てられなくなっているということがよく分かる。

24年度の税収が発表されたと共同通信が伝えている。余剰金が2.2645兆円だった。またいざというときに積み増しておいた4.3兆円も使わずにすんだ。このため5兆円の国債発行をせずにすみそうなのだという。

いくつかのことがわかる。

少子高齢化で勤労者が減ることを見越し財務省は消費税依存にシフトしている。所得が増えなくても消費さえ増えれば税収が増えてゆく仕組みなので政府としては国民所得が増えなくても知ったこっちゃないといったところだ。

しかしながら、石破政権の経済政策も外交政策もすべて不発だ。そもそも石破総理は「楽しい日本」で国中に「え、どういう事?」というはてなマークを振りまいていた。

外交も行き詰まっている。トランプ大統領は日本はhas been spoiledと発言した。CNNは「甘やかされた」と翻訳している。石破総理お得意の「ダラダラと自説を述べ続ける」態度が逆鱗に触れたようだ。このhas been spoiledはカビの生えたミカンなどにも用いられる表現。つまり扱いが悪かったので腐っちゃったねと言う意味になる。

トランプ大統領はベトナムとのディールを発表したとSNSで発表している。ベトナムからは20%の関税がかかる(アメリカが中国からの迂回と考えれば40%にできる)がベトナムはすべての対米国関税を撤廃する。極めて不平等な内容だが、アメリカ人にとって見ればアメリカは特別な国なのでこれくらいの不平等があってこそ「公平」なのである。

このような国と「まともに交渉ができる」とありもしない楽観論を振りまいて宣伝してきた反動は今後非常に大きなものになるだろう。

ここまで行き詰ると政権としては選挙のたびにお金を配って国民を買収するしかない。これを野党が口を極めて「ばらまきだ」と反発するから話がややこしくなるのであって、冷静に買収以外の打開策がないんだなあと理解すればいいだけの話である。

石破総理は「税収の上振れがたまたま2兆円程度あった」からそれを分配すると言っている。だったら最初から取らなければいい話である。ではなぜそれが出来ないのか。

何でもかんでもお金で解決するしかなくなった石破政権は「いざ」というときのために多額の予算を積み増していた。これだけを見ると「老後にいくらお金があっても足りない」と怯える高齢者世帯のような印象を持つ。日本の政党はシンクタンクを持たず、霞が関も国家戦略よりも省益を優先するようになったため経営機能が衰えている。こうなると「とりあえずいざというときのために」という気分になるのだろう。

共同通信によると「予備費など」となっているがその内訳は不明。つまりどこで取りすぎたのかの総括も進んでいない。日本のメディアにもシンクタンク機能がない事がわかる。

さらにNRIによると「余剰分はすでに防衛など使い道が決まっている」という。

あっちこっちに様々な約束をして結果的に首が回らなくなったと言う印象がある。

日本はどの分野に重点的に国家投資をすれば次の飯の種が得られるかを考えられなくなり「とにかく最後に頼れるのは札束だ」と考えるようになったのだと総括できる。