当ブログはよく「政治はプロレスである」と表現することがある。だがトランプ大統領が夢中になっているのは本物のプロレス。250周年のイベントの一環としてホワイトハウスでのプロレス興行を計画しているそうだ。
トランプ大統領の仕事は常に称賛を浴び続けることだ。大型包括予算が成立したため次の関心事は建国250周年に移っている。1年にわたって立て続けにイベントが予定されている。中にはエルビス・プレスリーなどの銅像を展示する庭園の計画もあるそうだ。
さらにホワイトハウスでのプロレス興行なども計画されている。軍事パレードのときもプロレス団体が関与していたことから利益誘導的な意味合いもあるのかもしれない。
一方でトランプ大統領の視界に入らない人達もいる。
今回の包括予算案では1180万人の無保険者が出るとされているが、トランプ大統領は根拠を示さずに「きっとその数字はもっともっと小さなものになる」と主張した。おそらく貧乏人にはさほど興味がないのだろう。今回の減税は富裕層に恩恵があり貧困層にしわ寄せが来ると言われている。
減税が原資の一つとして注目されているのがアメリカの国内民に対する輸入税だ。トランプ大統領は関税を「外国から徴収する」と言い続けているが、実際に苦しむのはおそらく中流以下のアメリカ人だろう。
ガザではもっと悲惨なことが起きている。
トランプ大統領はイスラエルとハマスの双方に60日停戦提案をしている。イスラエルとは自分が話をつけるとしており、ハマスはカタールとエジプトがなんとかするだろうとの考え。仮に和平が実現すれば「自分はノーベル平和賞にふわさしい」と主張するのだろう。
しかしながらイスラエルはガザ攻撃を続けており多くの人々が今も亡くなり続けている。
ハマスの役割を奪うとしてイスラエルとアメリカが食料支援を行っているがこちらも悲惨な話が出てきた。
食料支援には飢えた人々が戦闘区域を通ってやってくる。支援計画の警備をになっている人たちは「身の危険を感じたら(上官に相談することなく)殺すつもりで撃ってから質問しろ」と指導されているそうである。もはやガザの市民たちは人として扱われておらず単なるモノ扱いになっているとわかる。
トランプ大統領はウクライナ和平もノーベル平和賞のチャンスだと思っているようだが、次第に飽き始めているようだ。プーチン大統領と電話をしたが、プーチン大統領はロシアの核心的利益(つまりウクライナ政府の抹殺)を確保するまで諦めないと宣言した。
どうしていいかわからなくなったトランプ大統領は「プーチン大統領は戦いをやめるつもりがないようだ」との感想を漏らした。
誰もが知っていることだ。
プーチン大統領はアメリカはウクライナを支援するために戦わないとの確証を得たのだろう。ウクライナに向けて多数のドローンを発射している。トランプ大統領はゼレンスキー大統領とも会談し「ミサイル防衛システムくらいは支援してやる」と約束したそうだ。
今回はたまたまアメリカ内政・ロシア/ウクライナ問題・イスラエル・ガザ問題について取り上げた。トランプ大統領の行動原理は常に称賛を浴び続けることにあり、成果が得られないとすぐに投げ出してしまう。全ては彼にとっておもちゃのようなものである。
日本のワイドショーで「トランプ大統領に関税を取り下げていただくためには、何を差し出せばよかろうか?」というような議論が真剣に行われているのを見ると、この人たちはもしかして海外のニュースは見ていないのであろうか?と言う気分になる。仮に見ているとすれば国民を騙そうとしているのではないかという気もする。
なおトランプ大統領は250周年に向けた演説でシャイロックを引き合いに出した。シャイロックはシェークスピアに出てくる「狡猾なユダヤ人」の典型とされる。メディアは反ユダヤ的言動だと批判し、トランプ大統領は「知らなかった」と釈明しているという。エビデンスはないが、トランプ大統領はおそらくシェークスピアと聖書は読んでいないのではないか。
- Trump criticized for using antisemitic slur in Iowa speech
- Trump pleads ignorance after using antisemitic slur(Axios)
また西岸地区ではユダヤ人入植者がイスラエル軍を襲撃した。右派もやりすぎだと批判しているようだが時事通信は「右派閣僚の発言は単なるポーズではないか」と見る識者の声を伝えている。
世界は確実に「何でもアリ」の方向に傾きつつある。