先日お伝えしたタイのペートンタン首相が職務停止に追い込まれた。今後失職に向けて審理が行われるという。
タイは軍人と王室が結びつき既得権の保護が進んでいるが民衆を取り込めていない。このため王室改革を訴える前進党が選挙で勝利する。既得権益側は前進等の党首の議員資格を一時停止(その後回復)、セター氏が首相になったがその後倫理規定違反で解職を命じれられ地方で人気があったシナワット家の娘を首相として擁立した。これがタクシン氏の娘のペートンタン首相だ。
軍はどういうわけかカンボジアとの間で抗争を起こし国境が封鎖される騒ぎになった。さらにペートンタン首相とカンボジアのフンセン前首相の間の会話がリークされると支持率が急落する。
ペートンタン首相は謝罪したが騒ぎは収まらず上院議員たちは憲法裁判所に北トンタン首相の職務停止を訴えた。ペートンタン首相は内閣改造を行い文化大臣を兼任する。首相として職務停止されても内閣に残るようにするための対策だったそうだ。
ところが憲法裁判所は上院議員の訴えを聞き入れペートンタン首相の職務は停止された。その後審理が行われ結果次第では失職となる。BBCによれば容疑は倫理違反。
カンボジアとの間の国境が封鎖されるなど国際紛争のような印象だったが、上院は軍が極めて有利(軍が議員を任命している)のため軍が何らかの理由で首相を放逐しようと動いた可能性が高そうだ。
第一生命経済研究所の西濵徹氏によるとタイの政治闘争は日常茶飯事であり今回の政情不安が経済に与える影響は限定的なようだ。西濵氏はこれまでの経緯を詳細にまとめており読み応えのある内容になっている。