アメリカが「正義の鉄槌」を下しハメネイ体制は追い詰められている。イランは弱点である核施設を攻撃され少なくないダメージを負った。ではアメリカの弱点はなにか。それはいい加減なトランプ政権である。イランのハッカーはそれに気がついたようだ。
トランプ大統領が突然「日本はコメ不足なのにコメを買わない!」と情報発信した。一体どういう意味なのだろうかと思ったが内容を見ても何が言いたいのかよくわからない。そもそも日本はアメリカのコメを受け入れている。近所のスーパーでカルローズ米を見かけるようになった。
トランプ大統領は外交や経済政策に行き詰まりつつある。国内の議会交渉で忙しくなり外交交渉どころではなくなった。このため大統領が手紙を書けば外国は関税を払わなければならなくなるとの謎理論を展開している。
当ブログをご覧の方はすでにトランプ政権の考え方に慣れているだろう、改めておさらいしておこう。
- まず関税の正当化ありき
- そのためには日本はアンフェアであると言いたい
- 自分の論を正当化するエビデンスを持ってくる
- そのときに事実関係は気にしない
つまり今回の件で「トランプ大統領はコメの輸出拡大を狙っているのではないか」と考えるべきではない。あくまでも日本がアンフェアな国と言いたいだけなのだ。
そもそもコメの生産地はカリフォルニアなのでトランプ大統領にとってはどうでもいいことだ。論より証拠。カリフォルニアでは移民狩りの影響で労働者が不足し収穫時期の野菜や果物が腐り始めている。
トランプ大統領の強引な理論はすでにイランの核兵器開発に深刻な影響を与えつつある。IAEAのグロッシ事務局長は「このままではイランが数ヶ月以内に濃縮ウランを生産してしまう」と慌てている。イランは核開発について情報公開しなくなったそうだ。
これも
- イラン攻撃はうまく行ったと言いたい
- そのためにはうまく行っていない証拠は認められない
という理論構成になっている。
このように諸事情を冷静に考えるとアメリカ合衆国は関税(特に自動車・アルミ・鉄鋼)での交渉の意欲がないと見るべきだ。国内の部品メーカーは多角化などを通じて脱自動車シフトを加速させるなど現実的な対応を取るべきなのだろう。
赤澤経済再生担当大臣はベッセント財務長官に会えなかった。ベッセント氏は日本と距離をおいていたようだがその理由がわかってきた。
トランプ大統領が「公平でない」と言っているのだからそもそも交渉をする意味がなくなってしまったのだ。
- 当初トランプ大統領は交渉の成果を大々的にアピールするつもりだった
- ところがだんだんと面倒になり「一方的に通告して関税を収入源にしよう」と考えるようになる
- このためには外国はフェアでないとみなす必要がある
- 方針が変わったためにベッセント財務長官もそれに合わせざるを得なくなった
ではこのようなトランプ政権の弱点とはなにか。
それはトランプ政権のうちわの議論である。フーシ派の攻撃に際して政府高官たちのシグナルアプリでのやり取りが漏洩した。ジャーナリストをリストに加えるという杜撰ぶりだった。
REUTERSが興味深い記事を書いている。
内容は下記の通り。
- 2024年の大統領選挙ではトランプ大統領関係者のメールの一部がメディアに流れている。情報を盗んだのはイラン系のハッカーだった。
- 今回ロバートと名乗るハッカーがさらなるメール内容をリークすると脅している。
- 内容はストーミー・ダニエルズ氏関連の情報のようであるがロバートは計画の詳細やメールの内容は明らかにしなかった。
- ホワイトハウス側は漏洩に関わった人たち(つまり流布した人も含めるのだろう)は罪に問われるとしている。
- ロバートはすでに引退していたがイスラエルの12日間戦争をきっかけに活動を再開した。
トランプ政権は永遠の混乱と呼べる状態に陥っておりそもそも落ち着いた対話や話し合いができる状態ではなくなっている。今回の「コメ発言」を見てもその事がよく分かる。
こうした混乱は様々な混乱を誘発し騒ぎは拡大を続けている。
包括予算案は3名の共和党造反者を出して50対50で成立した。賛否同数になると副大統領(上院議長)が介入し政権側に有利な裁定を行う決まりになっている。富裕層に恩恵がある逆進性が高い内容だそうだがトランプ支持者たちは熱心にトランプ政権を支持し続けているようだ。
イーロン・マスク氏がこれに反発しており「新しい政党が必要である」と訴えたところトランプ大統領が「イーロンをアメリカから追放する」とSNSで応戦する騒ぎになっているそうだ。