イスラエルとイランの間に起きた「緊張」について、主に昨日時点のニュースをまとめた。イランの攻撃は限定的でアメリカは関与を否定しているとの内容だ。
しかし内容をまとめているうちに新しい情報がXのタイムライン経由で続々と入ってきている。どうやらアメリカが関与する形での新しい戦争が始まったようだ。
まず記事になっていない情報をまとめる。事態は流動的であり更新される可能性がある。
Xのタイムラインによると、イランが長距離ミサイルをイスラエル全土に向けて発射した。イスラエルはアメリカの協力を得てミサイル防衛に成功したが複数の怪我人が出ているようだ。イスラエル当局はイランはレッドラインを超えたとしている。イランも「自制しろだと、だが断る」という声明を出している。情報は主にAxiosとSpectator Indexによるもの。
トランプ大統領は不規則発言を繰り返している。まずアメリカ合衆国は攻撃に関与しておらず外交交渉を続けるとしていたが、後に「核施設が攻撃されたためもう協議は必要ないかもしれない」などと言っているとのことである。
ここからがイスラエルからイランに対しての攻撃が行われた時点の情報のまとめになる。
イスラエルがイランに対して先制攻撃を実施した。ネタニヤフ首相は攻撃は何日も続くとして「継続的な戦争」を示唆している。アメリカ合衆国はルビオ国務長官名義で「アメリカは攻撃に関与していない」と発表。アメリカとイスラエルが切り離される(つまりアメリカを批判したことにならない)と理解した石破総理もイスラエルを批判する声明を出した。
核施設が攻撃されただけでなく革命防衛隊の最高司令官らが殺害されており報復は必至とされていたがドローンが100機飛んできただけだった。このドローンはイスラエルにより撃退された。
トランプ大統領は依然として核協議に前のめりであり「イランも今度は本気で協議に応じるだろう」という見通しをAxiosに伝えていたが、Axiosは協議継続は望み薄だろうと冷静に判断している。
- Trump to Axios: Israel’s attack could help me make deal with Iran(Axios)
- Israel’s attack on Iran mires years of Trump and Obama seeking a nuclear deal(Axios)
ではなぜこのタイミングだったのか。
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツが連名でイランはIAEA核不拡散義務違反を犯しているとの採択を出しIAEAで可決された。核協議に対してそれなりのプレッシャーをかけたのだろう。
ギャバード国家情報長官も広島を引き合い出して「核兵器はいけないことです」という声明を出していた。日本に対して敵対的な発言を行っている問題のある人物なだけにその意図は読み取れなかったが、AFPはロシアを牽制したのだろうと考えていたようだ。また、Bloombergもアメリカの極右の対ロシア観に一致するとの見方を示している。
ただタイミング的にはイランの核兵器開発を牽制した可能性があるのかもしれない。アメリカの核兵器保有は棚上げしイランだけを批判していたとなると「意味不明」だが、もともとトランプ政権は意味不明な政権であり特に驚くに値しない。
トランプ大統領のイラン協議は行き詰まりつつありトランプ大統領が設定した猶予期限を過ぎたところだった。失敗を認められないトランプ大統領は継続協議を主張していた。この時点では「イスラエルに攻撃されたことでイランが本気になり核協議が進展する」という楽観的な見通しを示していた。
CNNによるとトランプ大統領はネタニヤフ首相を牽制し和平を優先するように釘をさしていたが、ネタニヤフ首相は既成事実さえ作ってしまえばアメリカはイスラエル防衛にコミットする以外に選択肢はないと読んでいたのだろう。攻撃に際してアメリカの戦闘機を利用している。
当初ルビオ国務長官はアメリカはイランの攻撃に参加していないと強調していた。アメリカとイスラエルを切り離す戦略だったのだろう。石破政権はイランに対する攻撃がアメリカを批判することにならないと見たのかイスラエルを避難する声明を出している。関税交渉に振り回され夜はトランプ大統領との会談、昼は国会対策に忙殺されている。石破総理の外交音痴は驚嘆に値するが、単に睡眠が足りていないだけなのかもしれない。
この時点ではアメリカはイランとの協議を諦めておらずイランの攻撃も抑制的になるのではないかと思われていた。株価に対する影響は限定的だった。ただし、原油価格の上昇、金の価格の上昇などがあり、市場も次第に「これは悪い影響が出るのでは」と折り込み始めておりニューヨークの株価は一時700ドルを超える下落だったそうだ。ただしこれはイランの大規模な報復前のレスポンスである。週明け(日本時間でいうと火曜日)以降の動きに注目が集まる。