8,900人と考え議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方

アメリカの労働統計が発表された。当初は関税の影響でかなり悪くなっているのではないかと言われていたが、実際には危うい状況が明らかになった。非常に面倒な状況になっている。

6月の雇用統計が発表された。関税の影響で悪影響があるのではないかと思われていたが市場予測を上回る好調ぶりで失業率も低下した。市場はアメリカの経済は好調であると判断し「利下げは行われないだろう」と見なされた。

だがしかし……である。

Bloombergは州や地方政府で雇用が増加していると書いている。特に教育分野での伸びが多かったそうだ。「季節調整の影響なのでは」と見る専門家もいるという。APも同じような論調。労働市場は好調だがしかし……と付け加えている。

パウエル議長は関税の影響を見極めようとしており金利即時引き下げは難しいとの認識を示している。普通に考えればトランプ大統領の曖昧な関税政策がFRBを縛りその影響でアメリカ経済が急速に悪化しかねないと考えそうなものだ。

しかしトランプ政権側はアメリカ独特の立ち回り方でパウエル議長の判断が遅れたからアメリカの景気が急に減速したという空気を作ろうとしている。

米連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長は、FRBが贅沢な建て替え計画を実現するために議会で嘘をついたと主張。贅沢なエスタブリッシュメントVS住宅をほしいのに金利高騰に苦しむ庶民という図式を作り出そうとしている。

またベッセント財務長官はFBRの認識はズレておりこのままでは9月に大幅な利下げに追い込まれるとした。

一部では移民狩りの影響でエッセンシャルワーカーが急速にシュリンクしているという話も出ているが、これが労働統計にどの程度反映されているかは未知数だ。

しかしながら株価は絶好調。バイデン政権の末期から絶好調状態が続いている。「解放の日」ショックで一時は大幅に落ち込んだがこれも回復傾向にある。アメリカの経済見通しが不透明さを増してもアメリカ以外に投資に的確なマーケットが見つからないのが現状。トランプ政権は大規模減税に成功しつつあり消費市場が更に拡大するという見込みがあるのだろう。確かに富裕層が消費市場を牽引してくれればアメリカは引き続き世界から多くの投資を集めるのだろうが、過度の楽観論が支配する市場には市松の怖さも感じる。